2019/01/29
で、まぁ昨日の続きで。今日は、超絶ネタバレしますよ、ご注意を。
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昨年2月末に公開したSKEのドキュメンタリーは、最終的には卒業生も含めた総勢40人以上にインタビューしながら、結成から6年の年月を順に追っていく形をとったわけですよね。そのなかで、ダブル松井を中心にしたメンバーに適宜スポットを当てていく。
監督は石原真さんで、こちらも48グループに長く携わってきた方。映画監督は初めてとのことですが、4月のオールナイトニッポンで珠理奈、玲奈と出演した際の話っぷりからも、メンバーとの距離も近く、信頼感のある方なんだなぁというのはすごくよくわかる。要は、今回のNMBのドキュメンタリーの監督を務めた船橋淳さんとは対照的ということで。
今作では、その形ではなかった。
“NMB入門編”という作りであるため時系列を辿る部分はありつつも、キーとなる数人のメンバーにスポットライトを強く当てながら、NMBとは?アイドルとは?という問いに対する答えを見つけていこうという形。
そのメンバーは、
山本彩
須藤凛々花
矢倉楓子(と白間美瑠)
沖田彩華
の4人。その他のメンバーは、たぶん2分ずつも映ってないんじゃないか?っていう感覚。みるきーでさえね。
さや姉はまぁ言うまでもないでしょう、NMBの象徴ですから。
哲学者を目指す須藤は、シーンの合間でニーチェの言葉を引用しながら自作の詩を詠む、いわばストーリーテラーという役割。「世にも奇妙な物語」でのタモさんですな。
つまり、特に大きくクローズアップされたのは、ふーちゃんとあーぽんの2人。
ふーちゃんの一連の物語は、変に語るよりビジュアルで楽しむものだと思います(笑)
母子家庭で、7つ下の弟の面倒を見ながらここまできて、そこで生まれる家族への思い。同じチームで年も1つしか変わらない、シングル「らしくない」でダブルセンターを務めたみるるんとの比較されることによる苦悩。
まぁよくある話っちゃよくある話なんだけど、家族3人での寿司屋のシーンでは本当にほっこりしますよ。うっすら涙を流しながらアイドルの苦悩をお母さんに話してる横で、モグモグ寿司食ってる弟(11歳?)。次第に空気を察して、ジッと姉を見る。弟のほっぺをツネって微笑む姉。いやぁ。うん。ほっこり。
で、この映画のキモはあーぽんこと沖田のほうですよ。もう、このシーンのためにこの映画作ったみたいな?
あーぽんは、さや姉やみるきーと同じ1期生。歌やダンスのスキルは高く、ビジュアルも選抜メンバーと遜色ない。グラビアだって、ええもん持ってる。チームMでは副キャプテンを務め、後輩の面倒見も良い。なのに、これまで一度もシングル選抜に入ったことがない。
握手会の列の長さを見たって、彼女が人気メンバーの1人であることは明らかなんです。「劇場職人」と呼ばれ、チームをまたいでの公演にも出続ける。20歳になり、そろそろ身の振り方も考えなきゃな、と親からも言われる。
なぜ選抜に入れないのか?何が足りないのか?
本人も、ファンもそう思ってるわけです。劇場支配人の金子さん、通称キャメロンもファンから理由を問われ、「当落線上にいるんだけど、やっぱり…」と口を濁す。
ところが、舞台裏でのインタビューではこう答える。
「頑張ってるのは当然知ってる。でも、行動の面とかで、自信を持って選抜に入れることができない…」
行動の面?何それ?っとうっすらと思いながら、総選挙のシーンなどを挟んで再び苦悩を描かれたあと、ラストシーンへ。
あーぽんが金子さんに会議室に呼ばれ、いきなり問われるわけです。
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金子「男関係の面、ないの?」
沖田「全くないって言ったら嘘になりますけど、でもそれは友達としてです。ファンの方を心配させるようなことは、全くありません」
金子「・・・。ほんまやな?信じてええんやな?・・・約束やぞ。・・・ほな、次のシングル、選抜に入れます。頑張れや」
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たった3分ほどのこのシーンに、全てが詰まってると思うわけですよ。
ハゲ頭で陽気なキャメロンのこれだけマジな目は、初めて見ました。
あーぽんが選抜に入れてもらえなかった理由。
過去にそういうことがあったのか?あったんでしょうね。
今も、そういうことがありそうだという噂があるんでしょうね。
もともとNMBは、2ndシングルにおいて、発売直前に選抜が変更される事件があった。エースの渡辺美優紀、先日卒業した近藤里奈が選抜から外れ、今では選抜常連の吉田朱里と2012年に卒業した松田栞が無期限活動停止処分を受け、その後にファン投票で活動再開するという。
理由はもちろん明らかじゃないけど、握手会で泊まっていたホテルの部屋にファンの男性を呼び込んであれやこれやと。NMBが始動して1年経たないうちの事件に、このグループは本当に大丈夫か?ってなったわけですよ。
近年じゃまぁ指原氏とか柏木氏とか峯岸氏とかいろいろあるわけですから、アイドルが清廉潔白なんて誰も思ってないですよ。10代の女の子にそういうのが何もなかったら、むしろ怖いって言う話で。
でも少なくともそれは週刊誌とかを通じて噂に背びれや尾ひれがくっついてきたものを見て知るわけで、こうやって生々しく、白昼の下に晒したのはグループとして初めてじゃなかろうか。
アイドルの汚れた面を、限りなく傷が少ないように描いた勇気には感銘を受けますわ。
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はい、そろそろまとめます。
昨日のエントリーでは、「期待外れだった」と言いましたがね、やっぱり改めて振り返るといい映画でしたよ!(どっちやねん)観て良かったな、とは思ってます(笑)
NMBの入門編というようにわかりやすく描きながら、さや姉の難波魂をしっかり描いてNMBらしさを出しつつ、りりぽんの不思議な魅力をストーリーの軸に沿え、ふーちゃんのほっこりさで癒し、最後に強烈にあーぽんの物語をもってくる。
2時間の中によう詰め込んだなぁって、改めて思います。
この揺れの激しさ、コントラストの強さ、これだけを盛り込みながらもそれぞれの物語が全く薄れない描き方。あぁ、これがドキュメンタリーのプロが描いた作品なんでしょうね。
たぶん、1回見ただけだと昨日自分が書いたような受け取り方をするんでしょう。でも改めて思い返すと、それぞれのエピソードがしっかりと残ってて、「観て良かった」と思う。こりゃすげーわ。
ってことで、来週末あたりは比較のためにHKTのほうも観てみよう(笑)
以上、長文にお付き合いいただきありがとうございました・・・