コンドルとカモメのVoyage

映画『存在する理由~Documentary of AKB48~』を観てきた感想

time 2016/07/16

映画『存在する理由~Documentary of AKB48~』を観てきた感想

好評って感じじゃないみたいですね、この第5弾の映画。まぁそれは確かにわかる。あ、超絶ネタバレすると思うので、読みたくない人は読まないでくださいね。

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観て楽しむ映画じゃない。考える映画。

今回の映画はちょっとこれまでと違いますね。どっちかっていうと、NMB48のドキュメンタリーと似たようなつくり。その名の通り、ドキュメンタリーという感じで。

監督の石原真さんが自分でビデオを回し、インタビューを行い、ナレーションを行い、今回のテーマである「存在する理由」を考えていく形。「AKB48はなぜ10年続いたのか?あと10年続くのか?」

最初に言っちゃうと、ファンが観たいのはこれじゃないと思うんですよ。HKTのドキュメンタリーの感想(こちら)でも書きましたが、ファンの多くが観たいのはアイドルの裏側。テレビやSNSでも見せない顔を見たいのです。要は優子さんのアレみたいなシーンとか、TBSのこみはるのドキュメンタリー番組のような表現。

あぁいう場面が散りばめられていればもっと話題になったろうし、もっと”面白い”映画だったと思いますよ。もちろん人によって何が面白いっていう基準は違うんですけど、簡単に言えば、映画を観終ったときに「面白かったねー」って感想が自然と飛び出る感じ。
SNSの普及によりここ数年でファンが観たいと思う裏側の基準は上がってるとはいえ、その辺は制作側もさすがにわかってるとは思うんですよね。それでもこういう形の作品にしたというのは、たかみなの卒業というAKBの歴史の大きな節目には一度足を止めてでもその存在意義を真面目に考えておきたいという意図があったのかなぁって思います。

だから、面白くはなかった、それが率直な感想です。
でも、じゃあダメな映画だったというわけではありません。意味のある作品ではあったはずです。

AKB48を外から多面的に観察する

これまでのドキュメンタリーはメンバーを中心に素材として扱い、AKBの活動そのものがどういう意味があるのかを考えることが多かった。つまり、活動記録的な意味合いが強かった。

・そもそもAKBとは?
・震災とどう向き合うか・
・前田敦子の卒業とスキャンダル
・大島優子の卒業とセンター

だから必然的に中心メンバーにスポットが当たり、映画のなかでは若手や姉妹グループなどは、言ってしまえばその物語をあくまでサポートする役割でしかなかった。
だから今回はまったく別物だったんです。

高橋みなみの卒業、横山由依総監督体制での新たなスタートが物語の中心になるであろうという誰もが思い浮かぶストーリーを描くことをしなかった。

まずは13~15期といったAKBの次世代を担う、と言いつつもすでに中心になりつつあるメンバーの物語。
NGT48など新たに発足した姉妹グループ、そしてAKBの中心から離れAKBを外から見れるようになった北原里英らの物語。
同じくAKBを離れ、ジャカルタのJKT48で躍進を遂げた、はるごんこと仲川遥香らの物語。AKBの中心になりきれず卒業し、新たな道を進む内田眞由美、小森美果らの物語、
AKBで挫折して離脱してしまった光宗薫の物語。
AKBを取り巻く人たちの物語。
すなわち、同じアイドルグループのライバル、モーニング娘。のプロデューサーのつんく♂氏、ももクロマネージャーの川上アキラ氏。そして、”敵”ともいえる週刊文春の記者の物語。

こういったAKBの”外”にいる存在へのインタビューを通じてAKBの存在意義を浮き上がらせていくという形でした。

そして、メインテーマの”存在する理由”に対する結論は石原さんの口からは述べられていません。もちろん彼の中にはある一定の結論は出てるとは思うけど、それは誰かによって定義づけられるものではなく、AKBという大きな存在を見ている私たちがそれぞれに結論を考えてほしいということなのかな、と思ったりもします。
そのためのヒントは、上記のインタビューのなかで語られていると。

まとめ

存在する理由。

そうですねぇ。
ものすごくおおざっぱに言ってしまうと、単にいちアイドルグループで一部の人の娯楽というわけではなく、関わった人に存在意義を与えることができる、それがAKB48が存在する理由なのかもしれません。

どんな物語であろうとメンバーはAKBにいたことを踏まえてそれぞれの道を進んでいて、そこにはAKB48がスタートから今に至るまで続けてきたバトンを握った証がその生き方に表れている。

AKBが存在するからこそ、存在できているモノ・人もいる。ライバルグループや、敵もね。

本編の中では、父親の死という苦難に面した岡田彩花の物語が描かれているんです。これはこれで感動ストーリーなんですけど、最初はなぜこれをここに挟んだかはわからなかったんです。でもやはりこの映画のメインテーマを考えると、彼女はAKBの存在によって父親の死を乗り越えることができた、ということを示したかったのかな。

うーん、まとめるのは難しい!

ただ最初に言ったように、この映画を見て楽しいとか幸せな気分になれるとか、面白かったね!って言えるものではないのは確かだと思います。ピックアップされたメンバーのファンとかはそう思うかもしれませんが。

だから、単純に楽しみたいって思う人が見るのはオススメしません(笑)
何か考え事してみたいな、って思う人はどうぞ!

おまけ

劇中で印象に残ってることの雑記。

「AKBグループは競い合っていくものじゃなく、一緒に頑張っていかなきゃいけない」by北原里英

→各姉妹グループ、個々人の競い合いによって成長してきた48グループ。でも今は、そういう垣根を超えて、協力しあって成長しかなきゃいけないと。SKEと兼任、NGT移籍とAKBを離れて活動してきる彼女だからこそ出てくる言葉なのかな。

「次入らなかったら、やばいかもね。ハハハ」by指原莉乃

→総選挙後、ランクインできずに泣いていたNGTの中井りかと荻野由佳に対して指原が言った言葉。「まだ最初だからしょうがないよ」と言って慰めたあとに、この超現実的な言葉をグサり。さすが王者。

「私たちのAKBが終わった」by大島優子

→たかみなの卒業コンサートで舞台裏にはけてきたときに一言。やはり彼女らから見ても、今のAKBは当時とはちょっと別物なのかな。

文春インタビュー

→これね、正直つまんない。無難すぎて。実は超いい人たちで明確な狙いがあっていろいろやってることを語ってくれたり、逆にイメージそのまんまのドス黒さ全開だったら面白かったのに。中途半端さがまた反感を買いますがね。

川上アキラインタビュー

→ももクロはAKBと違い、「実態の見えないアイドル」であることを保つと。だから、AKBが積極的にSNSを取り入れて個々人が情報を発信してファンとコミュニケーションを取るのとは反対に、ももクロは個人のそういうことはしない。
同じ土俵で戦ったら絶対に勝てないことはわかりきってるから、AKBとは別の道を歩みながらライバル関係を維持していく。同じアイドルでも、いろんなやり方があるんだなと勉強になりましたよ。

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